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「愛の蛍」って、何だろう・・・と思いながら見ていたが、最後に ようやく分かった。 土佐でも京でも、蛍が飛んでいる時代だった。でも、その頃、 主張の異なる者同士が斬り合う、殺伐とした空気が支配して いた。 池田屋事件で、同志であり幼馴染の亀弥太を新撰組に斬られた 龍馬は、怒り狂って京の街をさまよう。 新撰組を見つけ、斬りかかろうと狙うが、そこに現れた桂小五郎に 止められる。ここで斬り込むのは自殺行為。。。 お龍さんのいる宿に隠れた二人。桂は険しく、怒りに震えた顔で 語る。 今、列強の侵入を防ぐことはできない。幕府もみんな、自分たちの ことしか考えていない。 でも、長州は断固として戦う。仲間の死を無駄にしない、と。 やはり争いの先には争いしかないのかもしれない。主張の異なる 者を斬ってしまうと、恨みが恨みを生んで、哀しみの連鎖になる。 土佐でも、自らの主張のために、手段を選らばなかった土佐・勤王党が 厳しい責めを受けていた。 岡田以蔵への拷問は苛烈を極める。苦悶の悲鳴が上がるたびに、 武市半平太には生き地獄。。。 吉田東洋の暗殺が、容堂や後藤象二郎の強い恨みを生んでいて、 手段を選ばずに追い詰めようとしている。 (上士と下士、という背景も強く横たわっているし・・・) 後藤は岩崎弥太郎を使う。半平太が喋らなければ、せっかくうまく 行き出した商売をさせない。はかせろ、と。 弥太郎は半平太に懇願した。自分にとっては、吉田東洋がどうのこうの、 なんて関係ない。だが、商売ができなくなるのは困る。 また、半平太の帰りを信じて待つ冨さんや、以蔵のことを考えて、 正直に話してくれ、と。 ただ、半平太にそれはできない。彼には彼の武士としてのプライドが ある。大殿様に尽くしてきたのに、逆臣と呼ばれるほど悔しいことは ない、と。 結局、恨みが恨みを生んだ末には、哀しくてむなしい結末しかない のかもしれない。 それではいけないはずだけど、自分の信じるモノを裏切られたり、 大事な人を殺されたりすれば、誰だって恨みを抱くのは仕方ない。 今回は、そういう複雑な社会、この時期の日本のねじれた問題を 描いていたと思う。 争いを嫌い、今、国内が分裂している場合ではないと思っている 龍馬ですら、亀弥太を殺されて復讐しようと思うのだ。 そんな彼に、示唆を与えたのはお龍だった。 新撰組の目を避けるために、お龍の家にかくまわれた龍馬は、 彼女の心を開いた。彼女が父親を亡くし、年老いて病に伏せる母と、 幼い妹・弟たちの面倒を見ている様子を知って、両親を亡くした自分 と重ね合わせる部分があったのかもしれない。 お龍の父は、攘夷派の志士を助けたことで、安政の大獄で罰せられ、 処刑された。それがあって、お龍は攘夷派も、新撰組も、家族を ほったらかしにしている志士たちも大嫌いだという。 ただ、龍馬が去るにあたり、「亀弥太の亡骸をおいていくのはつらい」 と漏らしたとき、彼女はビシッと言った。 あの人は志を貫いたのだ。坂本さんは、褒めてあげなければならない のでは?よく頑張った、侍らしく死んだ、と。 龍馬の表情が動いた。「その通りだ、お前のいう通りだ」 彼女の言葉は示唆に富んでいる。恨むのは仕方ない。でも、死んだ者 に報いるのは復讐なのか?むしろ、その死が無駄ではなかったと言って やること、そのためには、生きて志をなすしかない。 うーん、深い。。。お龍さん、深い。。。 真木よう子さんの素晴らしい演技もあって、今回のお龍は、今までの ドラマで描かれた「変わった女」とは一線を画し、真の意味での強さ を持った魅力的な人になっている。 そして、蛍。 冨が獄中の半平太に送ったのは、蛍だった。暗い獄中に蛍の光が 舞う。 神戸村に帰ろうとする渡し船で、龍馬の頭上を蛍の光が舞う。 妻と愛娘に囲まれる弥太郎の家でも、蛍の光が舞う。 亀弥太の死を無駄にしない。それは、恨みを晴らすことではない。 志を成し遂げること。 蛍を見ながら、龍馬も半平太も弥太郎も、それぞれが家族の愛を 感じながら、何を想ったのだろうか・・・。 |
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